緑黄色野菜の代表ともいえる人参。
きれいなオレンジ色をしているのはβ(ベータ)カロテンという栄養素がたっぷり含まれているから。
また、人参は生でサラダにしたり、カレーの具や肉じゃがに使ったり、色々な食べ方を楽しむことができますね。
そんな人参の栽培ですが、種をまいた後に土を乾燥させてしまうと、うまく発芽してくれません。
しかし、 種まきのさいにあるひと手間をするだけで発芽率を高めることができ、初心者のあなたでも上手に美味しい人参を作ることができますので紹介していきますね。
そこで、人参の育て方と栽培のコツを
- 人参栽培の特徴
- 発芽率を高めるためのポイント
- おすすめの品種
- 植え付け~収穫までのポイント
にわけて、説明していきたいと思います。
年間で約40種類の野菜を作り、家庭菜園歴12年の知識と経験から、初心者のあなたでもわかりやすく説明していきますね^^
甘くて美味しい人参をたくさん食べて、元気いっぱいになりましょう!
人参の栽培の特徴とコツ
人参の栽培の特徴
人参の栽培の特徴とコツをつかめば、初心者でも簡単に作ることができますよ♪
栽培難易度:★★★☆☆
分類:セリ科
種まき時期:春まき3月中旬~4月中旬、 夏まき7月下旬~8月上旬
発芽適温:15~25℃
生育適温:20℃前後
好適土壌pH:5.5~6.5
連作障害:連作可能。できれば1~2年あける。
【栽培のコツ1】連作障害にならないよう1~2年は同じ場所で育てない!
人参は同じ場所でくり返し栽培することもできますが、一度人参を育てた場所は、できれば1~2年休ませます。
これは連作障害をふせぐためです。
人参の連作障害は、ネコブセンチュウやネグサレセンチュウという土の中に発生する虫が原因で起こります。
センチュウが発生してしまったときは連作を避けてください。
また、人参と一緒に枝豆を植えると、コンパニオンプランツとして、お互いの害虫を予防してくれます。
枝豆は、人参を好むアゲハチョウを寄せつけなくしてくれ、人参は枝豆を好むカメムシを防いでくれます。
【栽培のコツ2】新聞や不織布(ふしょくふ)を使って発芽率を高めよう!
人参の種が発芽するためには、たっぷりの水分が必要なのですが、夏は暑さですぐに土が乾燥してしまいますね。
そんなときに役に立つのが新聞紙や不織布(ふしょくふ)です。
種をまき水をたっぷり与えたら、新聞紙や不織布を土にかぶせておきます。
そうすれば、土を湿った状態に保ちやすくなり、発芽率が高くなります。
また、水やりや雨によって種が流れてしまい、発芽に失敗してしまうことがあります。
これを防ぐためにも新聞紙や不織布をかけておくといいですよ。
人参のおすすめの種まき時期は7月下旬~8月上旬
人参の種まきには、春まきと夏まきがあります。
はじめて人参を育てる場合は、春まきよりも夏まきがおすすめです。
夏まきなら、十分気温が高くなった頃に種をまくので、発芽もしやすいからです。
地域や育てる品種により違いますが、夏まきの種まき時期は7月上旬から8月上旬です。
【夏まき】
- 寒冷地:6月下旬~7月中旬
- 中間地:7月下旬~8月上旬
- 温暖地:8月上旬~9月上旬
【春まき】
- 寒冷地:4月上旬~5月中旬
- 中間地:3月中旬~4月中旬
- 温暖地:2月中旬~3月下旬
人参のおすすめの品種は時なし五寸、ベータリッチ、向陽二号
人参は、大きく分けて根の長い東洋種と根の短い西洋種がありますが、スーパーなどでよく見かけるのは西洋種です。
ここでは、初心者にも育てやすい種類を紹介しますね。
時なし五寸
じょうぶに育つので、家庭菜園にも向いている品種です。
種まき後、110~120日くらいで収穫できます。
15~20cmくらいまで大きくなり、先のほうまでしっかりと太く育ちます。
ベータリッチ
甘みが強く、クセもないので、ジュースやサラダにしてもおいしい品種です。
病気に強く、育てやすいのも特徴です。
向陽二号
根も先のほうまでよく太り、ツヤがあり鮮やかな紅色に育ちます。
暑さや病気にも強く、つくりやすい品種です。
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人参の育て方と栽培のポイント
手順1.品種に合わせた高さのうねを立てよう!
根の長い東洋種を育てる場合は高さ20cm、根の短い西洋種を育てる場合は高さ10cmの畝を立てます。
- 種まきの2週間前までに苦土石灰(くどせっかい)を1㎡あたり100~150gまき、深さ30cmくらいまで土をよく耕しておきます。
- 幅60~70cmの畝を作ります。
土のかたまりや石などがあると、人参の根が育つときに二股に分かれてしまいます。
土を耕すときに、土のかたまりはほぐしておいたり、石は取り除いておきます。
手順2.種は条まきして薄く土をかぶせよう!
発芽にはたっぷりの水が必要です。
種まきは雨の降った翌日や、土にたっぷりと水をまいた後に行います。
畝に幅2~3cm、深さ1cmの溝を作り、条まきします。
【西洋種】
間を20~40cmあけ、1つの畝に2つの溝を作ります。
【東洋種】
畝の真ん中に1つ溝を作ります。
- 溝に1cm間隔で種をまき、1cmくらいの土をかぶせてしっかりと押さえます。
- 種をまいたら、たっぷりと水をやり、新聞紙か不織布をかぶせます。
- 芽が出そろったら、新聞紙や不織布は外します。
- 乾燥しないよう、発芽するまで毎日しっかりと水やりをしましょう。
- 人参は発芽するときに光を必要とする「好光性種子」です。土をたくさんかぶせてしまうと発芽しにくくなるので、土は薄くかぶせるのがポイントです。
乾燥や温度に注意するほか、種が古いと発芽しにくいこともあるので、確認してみてくださいね。
・条まきとは?
まっすぐ列を作るように種をまくことを条まき(すじまき)と言います。
畝に1列にまくものは「一条まき」、2列まくものは「二条まき」です。
手順3.【間引き①】子葉が開いたら
子葉が開いたら、1回目の間引きをします。
隣の株と葉っぱの先がふれ合うくらい間隔があくようにします。
手順4.【間引き②】本葉が2~3枚になったら
本葉が2~3枚になったら、2回目の間引きを行います。
1回目と同じように、隣の株と葉っぱの先が触れ合うくらいの間隔があくようにします。
手順5.【間引き③と追肥①】本葉が5~6枚になったら
本葉が5~6枚になったら、3回目の間引きを行います。
株と株の間が10~15cmになるようにします。
人参は、発芽してすぐの頃はゆっくり生長するので、生長の早い雑草に負けてしまいます。
間引きのタイミングで雑草も必ず抜き取っておきましょう。
本葉が6~7枚になったら1回目の追肥をします。
1㎡あたり30~50gの化学肥料を条と条の間、または畝の肩にまきます。
肥料と土をよく混ぜながら軽く耕し、株の根元に土を寄せておきます。
手順6.【追肥②と土寄せ】本葉が9~10枚になったら
本葉が9~10枚になったら、2回目の追肥をします。
1回目の追肥と同じように、土とよく混ぜながら耕し、土寄せをします。
人参のオレンジ色の根は、光が当ると光合成をして緑色になってしまいます。
人参の肩の部分が緑色にならないようにするためにも、しっかりと土を寄せ、根全体を土の中に隠しておきます。
人参の収穫時期と収穫方法
人参の収穫時期
品種にもよりますが、種まきから3か月くらい経ち、葉が茂ってくる頃が人参の収穫時期です。
【夏まき】
- 寒冷地:10月上旬~12月下旬
- 中間地:10月中旬~3月下旬
- 温暖地:11月中旬~2月下旬
【春まき】
- 寒冷地:7月上旬~8月下旬
- 中間地:6月中旬~8月中旬
- 温暖地:5月中旬~7月上旬
大きくなったものから順番に収穫しよう!
根元を少し掘ってみて、根がしっかりと太くなっているか確認します。
品種にもよりますが、上に出ている根の直径が4~5cmくらいになっていれば収穫に適しています。
収穫するときは、茎の下のほうを持って、真っ直ぐに上に引っ張ります。
大きくなりすぎた人参は、実割れといって、根が裂けてしまいます。
収穫が遅れないように注意しましょう!
人参の収穫後の保存方法
秋に収穫した人参は、収穫したあと土の中で保存することもできます。
【保存方法1】
- 収穫はせずに葉の根本を切り落とします。
- 人参が全部かくれるように土をかぶせます。
【保存方法2】
- 人参をいったん収穫し、葉を切り落とします。
- 次に畑に人参をうめる穴をほります。
- その穴の中に、土がついたまま人参をまとめて入れ、土をかぶせておきます。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、「人参の育て方!連作障害や肥料・間引きなど栽培のコツ」を紹介してきました。
人参は、乾燥に注意し、上手に発芽させることができれば、後は比較的に簡単に育てることができるので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。
【植え付け時期】
栽培地によって変わります。
<夏まき>
寒冷地 6月下旬~7月中旬
中間地 7月下旬~8月上旬
温暖地 8月上旬~9月上旬
<春まき>
寒冷地 4月上旬~5月中旬
中間地 3月中旬~4月中旬
温暖地 2月中旬~3月下旬
【土作り】
深く耕し、品種に合わせて畝と立てます。
【種まき】
夏まきがおすすめ。
十分に湿った土に種をまき、不織布をかぶせ、乾燥しないように!
【水やり】
発芽まではしっかりと水やりをします。
【間引き】
発芽したら、生長に合わせ間引きをし、雑草もこまめに取り除きます。
【肥料】
本葉が9~10枚になったら、肥料を与え、土寄せをします。
【収穫】
収穫時期は種まきから3か月くらいが目安です。太く育ったものから収穫していきます。
【収穫時期】
品種によりかわりますが、目安は種まきから3か月。
栽培地によっても収穫時期はかわります。
<夏まき>
寒冷地 10月上旬~12月下旬
中間地 10月中旬~3月下旬
温暖地 11月中旬~2月下旬
<春まき>
寒冷地 7月上旬~8月下旬
中間地 6月中旬~8月中旬
温暖地 5月中旬~7月上旬