夏の定番野菜といえば、トマト。
栄養たっぷりで、生でも加熱調理をしても美味しく食べられます。
なかでも、あざやかな真っ赤な色のもととなっているリコピンや、ベータカロテンに注目が集まっています。
これらの成分は、老化・動脈硬化・ガンを引きおこす活性酸素の動きをおさえる抗酸化作用をもっています。
とくにリコピンは油にとけやすい性質をもっていますので、油で調理することで体内へ吸収しやすくなります。
そんな栄養いっぱいのトマトの栽培ですが、
肥料のチッ素分が多すぎたり、小さい苗を植えてしまうと、成長が悪くなり果実の元になる花が落ちたりして収穫量が少なくなってしまいます。
しかし、ある対策をおこなえば花が落ちにくくなり、初心者のあなたでも上手に美味しいトマトを作ることができますので紹介していきますね!
そこで、トマトの育て方と栽培のコツを
- トマト栽培の特徴
- 苗の植え付け時期と化学肥料で気をつけること
- 割れない美味しい果実をみのらせる雨よけ対策
- おすすめの品種
- 植え付け~収穫までのポイント
にわけて、説明していきたいと思います。
年間で約40種類の野菜を作り、家庭菜園歴12年の知識と経験から、初心者のあなたでもわかりやすく説明していきますね^^
トマトの栽培の特徴とコツ
トマトの栽培の特徴
トマトの栽培の特徴とコツをつかめば、初心者でも簡単に作ることができますよ♪
栽培難易度:★★★★☆
分類:ナス科
植え付け時期:5月上旬~6月上旬
収穫時期:6月下旬~9月下旬
発芽適温:20~30℃
生育適温:20~30℃
好適土壌pH:6.0~6.5(弱酸性)
連作障害: 連作不可。4~5年あけましょう
トマトを種から育てるには、種まき後の日中と夜間での対応が大切になります。
そのため、初心者の方は苗の購入をおすすめします。
【栽培のコツ1】1段目の花が2~3個咲いた苗を植えること!
トマトの苗を購入しても、すぐに畑に植えつけないようにしましょう。
市販されている苗は、小さなポットにいれられて若いものが多いため、畑に植えつけてしまうと成長がわるくなります。
そのため、苗を購入したら一回り大きいポットに植えかえて1段目の花が咲きはじめるまで育苗したほうが、トマトをたくさん収穫できます。
畑に植え付ける時期は、苗の上から1段目の花が2~3個咲きだしたころです。
それまでのあいだは、自宅の軒下などでポットのまま育てましょう。
【栽培のコツ2】チッ素分を少なくして甘いトマトを作ろう!
トマトの原産地は、雨の降らない南米のアンデス山脈にまたがる荒れ地です。
そのため、肥料成分を多くあげすぎると、うまく育たなくなります。
とくに肥料のチッ素成分がおおいと、茎に穴があいたり葉が丸まってしまい成長がわるくなります。
トマト栽培では、チッ素成分の多い化成肥料の使用をひかえるようにしましょう。
チッ素成分と水分のすくない環境で育てると、甘いトマトになりますよ。
もし、チッ素成分が多い肥料を沢山ほどこしてしまったときには、水を多くあげないでください!
水でチッ素成分がうすれるわけではなく、ぎゃくにトマトの根にしみこんで成長が悪くなります。
そのさいには、小松菜をうね沿いに植えます。
小松菜はチッ素を好んで成長しながら土のチッ素成分をうすめてくれます。
トマトのおすすめの植え付け時期は5月上旬~6月上旬
トマトの苗は寒さに弱いため、栽培地によって植え付け時期や収穫時期がかわります。
- 寒冷地(東北等) :5月中旬~6月中旬
- 温暖地(関東等) :5月上旬~6月中旬
- 暖地(四国・九州等):4月中旬~5月中旬
トマトのおすすめの品種はアイコ
トマトには実の大きさから、大玉・中玉・ミニトマトとおおまかに3種類の品種があります。
それぞれの品種から1つずつおすすめを紹介します。
桃太郎ファイト(大玉)
甘い大玉トマトの代表的な品種です。
病気につよいため、長期間の栽培がかのうです。
糖度がたかく食味のよい果実です。
濃桃色で色ムラがおきないのが特徴です。
フルティカ(中玉)
病気にかかりにくいため、育てやすく長期間の栽培ができます。
果実は酸味がすくなく糖度がたかいところが特徴です。
皮がうすくて柔らかいため、生のままでも食べられます。
アイコ(ミニトマト)
果実がさけにくく、病気につよいため、たくさん収穫できます。
房どり(ふさどり)もできます。
皮があつくて、ゼリーが少ないのが特徴です。
しっかりとした歯ごたえで甘みもつよいミニトマトです。
トマトの育て方と栽培のポイント
手順1.連作を避けて土作りをしよう!
- 植え付け2週間前に、苦土石灰を1㎡当り150gまき、深さ30cmくらいまでよく耕します。
- 植え付け1週間前に、1㎡当り堆肥4kgと化成肥料100g、溶性リン肥50gをまいて、土と混ぜます。
- 次に畝(うね)を作っていきますが、大玉トマトや中玉・ミニトマトの実の大きさで畝の幅がちがってきます。
【大玉トマト:1条植え】
大玉トマトを栽培する場合、1本の畝に1列で1定の間隔で苗を植え付けます。
これを1条もしくは単条植えといいます。
幅60cm、高さ20cmほどの畝を2本つくり、畝と畝の間を60cmあけます。
【中玉・ミニトマト:2条植え】
中玉やミニトマトは1本の畝に2列で植え付けるため、2条植えといいます。
幅1m20cm、高さ20cmほどの畝を1本つくります。
・銀線入りマルチとは?
銀線入りマルチは、透明や黒のマルチに銀色の線が入っていて、アブラムシなどの防虫効果があります。
園芸店やインターネットでも販売されています。
手順2.適期の苗を植え付けよう!
植え付けまえの準備として、前日に植え穴をカッターで十字に切れ込みをいれるか、市販の穴あけ機をしてあけておきます。
大玉トマトは1条植えで、中玉・ミニトマトは2条植えのため株間が違います。
栽培する種類にあわせて穴をあける必要があります。
【大玉トマト:1条植え】
株間が60cmになるように穴をあけます。
【中玉・ミニトマト:2条植え】
列と列のあいだが、80cmで株間が45~50cmになるように穴をあけます。
その後植え穴をほり、たっぷり水をやっておきましょう。
そして、当日に植え付けをおこないます。
苗の植え付け手順は1条植えも2条植えも同じです。
- 植え付け前に、植え穴の深さをみるためにポットのまま穴にいれて深さを確認します。
- 根鉢をくずさないように、苗をポットから抜きとり植え付けます。このとき、根鉢の上面と畝の面がおなじ高さに植えましょう。
- 苗のまわりに浅く溝をつくれば、水が根にしみこみやすくなります。
- 風などで苗がたおれないように、仮支柱をたてます。支柱は根鉢の外側からななめにさして、麻などで苗と支柱を8の字に結びます。
- そして、苗を保護するために肥料袋やゴミ袋などの底を抜いたものをあんどんのように立てます。
- 花が畝の内側になるように植え付ければ、真夏の直射日光が果実にあたらなくなるため、色づきがよくなります。
- もし、苗がのびすぎてしまったときは根元をまげて植え付けましょう。
畑のワンポイントになります。
・マルチ穴あけ機とは?
マルチ穴あけ機は、刃先がギザギザしていて、マルチに押し当てると丸くマルチが破り取られてキレイな植え穴ができます。
スコップで穴をあけても良いですが、植え穴が狭いと日光を遮って発芽しなかったりすることがあるので、初心者の方はマルチ穴あけ機を使うのをおすすめします!
園芸店やインターネットでも販売されています。
手順3.支柱は1条植えは直立・2条植えは合掌にする!
【条植えの大玉トマト】
本支柱を直立させて1本だけたてます。
【条植えの中玉・ミニトマト】
上部で交差する合掌のかたちにします。
世界遺産となった白川郷の合掌造りににたかたちで支柱をたてます。
- 苗がのびてきたら、本支柱をたてます。
できるだけ根鉢の外側に近いところに立てます。 - 主枝の葉2枚ごとくらいの葉柄の元に、ひもをかけて支柱に誘引します。
手順4.水やりは乾燥ぎみに!雨よけがおすすめ
トマトの原産地は雨のすくない乾燥した場所です。
そのため、水やりも少量でよく自然の雨で問題ありません。
しかし、雨にあたりすぎると病気になりやすく、熟した果実が割れやすくなります。
そこで、市販の雨よけグッズをつかって雨除け栽培をおすすめします。
雨滴の跳ね返りで、葉が病気にならないように梅雨までに設置しましょう。
・ 雨よけグッズとは?
雨除けグッズは、必要な部材がセットになっており、雨がちょくせつトマトにあたらないように畝全体を傘のようにおおうことができるものです。
これには、 曲がった形のパイプや専用シート等の部材がすべて1つのセットとして用意されており、園芸店やインターネットで販売されております。
手順5.わき芽は小さいうちに手で摘みとろう!
- 大きく育ちはじめた枝のよこからでてくる、わき芽は小さいうちにとりましょう。
- このとき、わき芽が折れやすい午前中に手で摘みとることをおすすめします。
肥料をあげすぎると、花のさきに葉がでてくることがあります。
見つけ次第、早めに摘みとりましょう。
手順6.3本仕立ての場合は1段目の花のすぐ下2つのわき芽を育てる!
- 主枝に咲いている1段目の花のすぐ下のわき芽を育てて、3本仕立てにします。
- それ以外のわき芽は摘みとりましょう。
1週間のうち2~3回は、苗のようすをみて必要のないわき芽は摘みとるようにしてください。
放置しておくと、ドンドンわき芽が出てきます。
手順7.追肥は1段目の果実がピンポン玉サイズが目安
1段目の果実がピンポン玉くらいの大きさになったら、1回目の追肥をします。
2回目は3段目の果実が1回目と同じくらいの大きさになったらほどこします。
- 追肥は、苗から10cmほどはなれた場所のフィルムと畝にあけた穴からおこないます。
- 化成肥料は1㎡あたり30~60gとします。
多くあたえると果実の元になる花が落ちてしまいます。
チッ素肥料がおおすぎると、茎に穴があいてしまいますので要注意です!
手順8.大玉の摘芯は8段目!中玉・ミニは必要ない
大玉トマトの栽培には、摘芯作業が必要になります。
- 8段目の花のうえに本葉を1~2枚のこし、芯を摘みとります。
- 中玉やミニトマトにはひつようありません。
トマトの収穫時期と収穫方法
トマトの収穫時期
トマトの収穫時期は、栽培している場所によって変わります。
- 寒冷地(東北等) :7月中旬~9月下旬
- 温暖地(関東等) :7月上旬~10月中旬
- 暖地(四国・九州等):6月中旬~8月下旬
ガクがそり返ったら収穫しよう!
果実の付け根にある緑色の小さな葉のようなもの(ガク)がそり返ったら、収穫のサインです。
ヘタのちかくまで赤くなった果実から収穫しましょう。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、「失敗しないトマトの育て方!水やり・肥料・支柱・雨除けなどの栽培のコツ」を紹介してきました。
雨よけ栽培や肥料のポイントをしっかり押さえておけば、初心者のあなたで立派で美味しいトマトを作ることができますよ^^
【植え付け時期】
栽培地によって変わります。
- 寒冷地(東北等) :5月中旬~6月中旬
- 温暖地(関東等) :5月上旬~6月中旬
- 暖地 (四国・九州等):4月中旬~5月中旬
【植え付け方】
- 大玉トマトの栽培は、1条植えをおこないます。
- 株間60cmで畝に1列で穴をつくり植え付る。
- 中玉・ミニトマトの栽培は、2条植えをおこないます。
- 列と列のあいだが80cmで株間45~50cmで穴をつくり植え付ける。
【水やり】
根付くまでしっかり水をまく。
根付いたら、自然の雨でOK。
【雨よけ対策】
梅雨以降、雨があたりすぎると病気になりやすく、果実がわれるため対策が必要。
【追肥と肥料成分】
- 1回目の追肥は1段目の果実がピンポン玉サイズになったらおこなう。
- 2回目は3段目が同じサイズになったらおこなう。
チッ素成分は控えめにする。
【わき芽】
わき芽は小さいうちに手で摘みとる。
午前中の作業がおすすめ。
【摘芯】
大玉トマトは8段目で摘芯をおこなう。
中玉やミニトマトは必要ない。
【支柱立て】
1条植えの大玉トマトは、1本仕立てで支柱をたてる。
2条植えの中玉やミニトマトは合掌のかたちで支柱をたてる。
【収穫】
収穫時期も栽培地でことなる。
ガクがそり返ったら収穫のサイン。
- 寒冷地(東北等) :7月中旬~9月下旬
- 温暖地(関東等) :7月上旬~10月中旬
- 暖地(四国・九州等):6月中旬~8月下旬