いちごは、親株からランナーを伸ばして次々と子株を増やし、越冬して実をつける多年草。
フルーツとして人気ですが、スイカやメロンと同様、実は野菜の仲間です。
春から初夏にかけて真っ赤に実る可愛いいちごの実を一粒ずつ収穫するのは、とってもワクワクしますよね。
そんないちごの栽培ですが、上手く受粉が行われないと実がつかなかったり、形が悪くなってしまいます。
しかし、ある対策をおこなえばきれいな実がつき、初心者のあなたでも上手に美味しいいちごを作ることができますので紹介していきますね。
そこで、いちごの育て方と栽培のコツを
- いちご栽培の特徴
- 植え付けや受粉のコツ
- おすすめの品種
- 植え付け~収穫までのポイント
にわけて、説明していきたいと思います。
年間で約40種類の野菜を作り、家庭菜園歴12年の知識と経験から、初心者のあなたでもわかりやすく説明していきますね^^
いちごの栽培の特徴とコツ
いちごの栽培の特徴
いちごの栽培の特徴とコツをつかめば、初心者でも簡単に作ることができますよ♪
栽培難易度:★★★☆☆
分類:バラ科
植え付け時期:10月上旬~10月中旬
収穫時期:5月中旬~6月上旬
発芽適温:18~25℃
生育適温:17~23℃
好適土壌pH:6.0~6.5
連作障害:あり。3~4年あける。
【栽培のコツ1】種から育てるのは難しいので、最初は苗を購入しよう!
いちごは温度管理や病気にならないための環境作りなど、種から育てるのが難しいといわれています。
家庭菜園では、園芸店やホームセンターで苗を購入して植え付けたほうが、上手く育てることができるでしょう。
苗を購入するときは、 クラウン(根元の膨らんだ部分)が太く、茎が丈夫で、ウイルスフリー(ウイルスに感染していないもの)のものを選びましょう。
【栽培のコツ2】親株のランナーの切れ端を通路の反対側に向けて植え付けよう!
いちごには「ランナー」と呼ばれる蔓があり、このランナーの伸びていく方向と反対側に花が咲きます。
ランナーの切れ端を通路と反対側に向けて植え付ければ、通路側に花が咲き、実をつけることになります。
収穫や管理作業を楽にするためにも、実がつくほうを通路側、ランナーを通路とは反対側にそろえて植え付けるとよいでしょう。
花や実に光がよく当たるようにするため、畝を作るときは、 通路側が南向きになるよう、畝の位置を工夫しましょう。
【栽培のコツ3】きれいな形のいちごを作るために、人工授粉をしよう!
ミツバチなどの受粉を助ける昆虫が少なく、受粉が十分に行われていないと、実が大きくならならなかったり、いびつな形の実ばかりついてしまいます。
実をしっかりと育てるためにも、 花の中心部分を柔らかい筆などで軽く撫でて、受粉の手助けをしてあげましょう。
いちごのおすすめの植え付け時期は10月上旬~10月中旬
いちごの植え付け時期は、栽培地によってかわります。
- 寒冷地(東北等) : 9月下旬~10月上旬
- 中間地(関東等) : 10月上旬~10月中旬
- 温暖地(四国・九州等): 10月中旬~10月下旬
いちごのおすすめの品種は宝交早生、さちのか、あかねっ娘
いちごには数多く種類がありますが、病気に強く、家庭でも育てやすい品種を選ぶとよいでしょう。
宝交早生(ほうこうわせ)
鮮紅色の果実はやわらかく、甘みと酸味のバランスのいい品種です。
うどんこ病に強く、初心者にも栽培しやすいので、家庭菜園向き。
さちのか
糖度は安定して高く、酸味の少ない品種。
肉質はしっかりとしていて、日持ちするのも特徴です。
あかねっ娘
酸味は少なく糖度が高いいちごです。果実は形が揃いやすく、栽培しやすい品種。
いちごの育て方と栽培のポイント
手順1.甘いいちごを作るために、リン酸肥料を加えて土作りをしよう!
- 植え付けの2週間前に、1㎡あたり苦土石灰100gをまき、深さ30cmまでよく耕します。
- 植え付けの1週間前に、1㎡あたり完熟堆肥3kgと化成肥料100gを入れ、土とよく混ぜます。
- 畝の下20cmくらいのところに、1㎡あたり30g熔成リン肥を入れます。
- 幅60cm高さ10cmの畝を立て、マルチを敷きます。
熔成リン肥はリン酸肥料の一種で、実のつきをよくし、糖度を高める効果があります。
手順2.ランナーの向きを通路の反対側にそろえて苗を植え付けしよう!
- 株間を30cmほど取り、マルチにカッターやはさみで穴をあけ、苗を植え付けます。
- 深植えすると生育が悪くなってしまうので、クラウンが土に埋まらないよう浅植えにします。
- 植え終わったら、根元にたっぷりと水を与え、土を落ち着かせます。
いちごの花はランナーとは反対側に咲きます。
通路側に花が咲き実をつけるよう、 ランナーを通路側と反対に向けて植え付ければ、後々の作業や収穫が楽になりますよ。
手順3.2月下旬に休眠から覚めたら追肥しよう!
気温が下がる12月から2月くらいまで、いちごは休眠期に入りますが、2月下旬頃から休眠から目覚めて生育が始まります。
休眠から目覚めたら枯れ葉を整理し、1㎡あたり50gほどの化成肥料を追肥して土を軽く耕しましょう。
休眠中も適宜水やりをして、雑草や枯れ葉も取り除いておくようにしましょう。
手順4.ランナーが伸びてきたらつみ取ろう!
暖かくなるにつれ、ランナーが伸びてきます。
そのままにしておくと実の肥大に影響するため、伸びたランナーは適宜摘み取ります。
収穫が始まってからのランナーはそのままにしておいて構いません。
手順5.花が咲いたら筆で人工授粉をしよう!
気温が低かったり、ミツバチなどの昆虫が少ないと十分な受粉が行われず、実が大きく育たなかったり、きれいな形の実になりません。
十分に受粉させるためにも、柔らかい筆などを使って受粉の手助けをしましょう。
花の中心付近にある雄しべを筆の先で円を描くように軽く撫でてください。
花粉を運ぶミツバチを呼び寄せるために、いちごと一緒にハーブの花などを植えるのもよいでしょう。
ミツバチを呼び寄せるハーブとしてよく知られているものには、 ラベンダーやボリジ、マジョラムがあります。
手順6.実が付き始めたら敷きワラを敷こう!
いちごに実が付き始めたら、敷きわらを敷きます。
マルチだけでも泥はねや雑草は防ぐことができますが、 敷きわらをすると更に実をきれいな状態に保てます。
いちごの収穫時期と収穫方法
いちごの収穫時期
いちごの収穫時期は、栽培地によってかわります。
- 寒冷地(東北等) : 5月下旬~6月中旬
- 中間地(関東等) : 5月中旬~6月上旬
- 温暖地(四国・九州等): 5月上旬~5月下旬
完熟したら摘み取って収穫しよう!
真っ赤に色づいたものから収穫しましょう。
額の部分を引っ張ると簡単に実を取ることができます。
ランナーを伸ばし、子株から来年用の苗を育てよう!
収穫後、ランナーを伸ばしておくと、来年の苗となる子苗を作ることができます。
親株から一番近いところにできた子株は、親株の病気などを強く引き継いでいる可能性があるので、二番目、三番目の子株を育苗します。
ランナーの伸びてきた子株の下に培養土を入れたポットを置いておくと、株が根付きます。
株が浮いてしまう場合は、U字に曲げた針金などで、土に固定しましょう。
苗つくりが面倒な場合は、ランナーを伸ばしっぱなしにして、後で親株だけを抜き取る「芝づくり」という方法もあります。
収穫は減ってしまいますが、小苗をそのまま同じ畑で栽培し続けることができます。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、「いちごの育て方!肥料・受粉・ランナーから子株を増やす方法など栽培のコツ」を紹介してきました。
受粉などはハードルが高いように見えますが、楽しい作業でもありますよね。丁寧に育てて、甘いいちごをたくさん実らせましょう!
【植え付け時期】
栽培地によってかわります。
- 寒冷地(東北等) : 9月下旬~10月上旬
- 中間地(関東等) : 10月上旬~10月中旬
- 温暖地(四国・九州等): 10月中旬~10月下旬
【土作り】
植え付けの2週間前に苦土石灰を入れ、1週間前に堆肥と元肥を入れて耕します。その後、熔成リン肥を入れ、畝を立てマルチを敷きます。
【植え付け方】
株間を30cmほどあけ、ランナーの向きを通路の反対側にそろえて苗を植え付けます。
【水やり】
乾燥しない程度に適度に水やりをします。
【追肥】
2月下旬に休眠から覚めて生長が始まったら、枯れ葉を整理し、1㎡あたり50gほどの化成肥料を追肥します。
【受粉】
花が咲いたら柔らかい筆の先を使って花の中心部分を軽く撫で、人工受粉させます。
【敷きわら】
いちごに実が付き始めたら、泥はね予防や形よく実を育てるために敷きわらを敷きます。
【収穫時期】
栽培地によってかわります。
- 寒冷地(東北等) : 5月下旬~6月中旬
- 中間地(関東等) : 5月中旬~6月上旬
- 温暖地(四国・九州等): 5月上旬~5月下旬
【収穫方法】
赤く熟した実から収穫します。額の部分を引っ張ると簡単に実を取ることができます。